はじめまして、一箱古本屋Route7books店主のますです
数あるサイトからこの「Tangled up in Literature/ブンガクにこんがらがって -Book&Song Reviews from Route7books」をご訪問いただきありがとうございます!
筆者は(途中、一時中断こそあったものの)10年以上海外文学を読み続けてきました。読書を通して、時には挫折感を味わいながらも、多くの感動や驚きを得ました。そしてそれらの感動は、時が過ぎればすぐに消え去るものではなく、むしろ時間とともに大きくなっていきます。
このブログは、海外文学のレビューを通して
ひとりでも多くの方に海外文学の魅力を届けるきっかけになるとともに
多様な生き方や価値観を模索するひとのささやかな気付きとなること
を目指しています。
また、このブログの具体的なコンテンツは、以下の内容です。
- Novels:海外小説(おもに英・米・独・仏・伊)の魅力を紹介する記事
- Lyrics:海外音楽の歌詞の魅力を紹介する記事
- BookLife:文学・読書生活にまつわる筆者の雑感など
このようなコンテンツを読者の皆さんにお届けすることで
- 海外文学に興味があるけれども、予備知識なしで読み始めるにはハードルが高い…と感じているひと
- 以前挑戦したけれどいまいち理解できずに挫折してしまった…というひと
- 生きづらさや悩みを抱えており、文学を学ぶことでさらに深く考えるヒントにしたい…というひと
特にこんな方に海外文学の魅力をお届けできるよう、できるかぎり簡潔に、専門用語を使わずに文学作品のエッセンスをまとめたいと思います。
最後に、このブログを作成するにあたり読み返すたびに、一層文学の奥深さを感じるとともに、いかに筆者自身がこれまで文学のことばに救われてきたかを実感します。このブログが、これまで文学から多くを教えられた筆者から文学への、ささやかな恩返しとなるよう願いながら、営為記事作成を行う所存です。
拙い部分・至らない部分、多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
また、ここからは、
- このブログを始めたきっかけ
- このブログの戦略/目指すこと
この2点をお話しさせていただきます。
お時間がある方は、ぜひ、最後まで読んでいってください!
このブログを始めたきっかけ
このささやかな文学ブログにお越しいただいている皆さんは、文学にもともと興味がある方や、読書が趣味の方だと思います。文学にのめり込むほど、こんなことに悩んだ経験はありませんか。
名作と呼ばれる本に挑戦してみたが、理解できず挫折してしまった…。
読書を通してさまざまな価値観や考え方に触れているはずなのに、読んだ内容が人生に生かされていない気がする…。
せっかくがんばって読破したにもかかわらず、作品の魅力を語ろうとすると、うまくことばにできず伝えられない…。
もしひとつでも共感するところがあれば、このブログがささやかなヒントになるかもしれません。
なぜなら、これらはまさに学生時代の悩める筆者の姿だからです。
筆者が「ブンガク」を学んだ頃
早10年ほど前の話になりますが、筆者は人文系の大学に入学し、海外文学を専攻しました。もともと洋楽で、創作や文学に興味があったため、著名な文学者や主要作品に残された思想や知恵を学びたかったのです。
大学入学早々、筆者は図書館にこもって、片っ端から海外文学を読み始めました。その頃の筆者は、ブンガクを学べば価値観がひっくり返り人生が一変する魔法のような力があると期待していたのです。また、賢そうな本を読むことで、周囲に対して未熟な優越感を感じていたことも、いま振り返れば否定できません。
実際のところは、他の人と話すのが苦手でバイトを始めることもできない自分の、安易な逃避先がブンガクだったのですが…。それでも、次のページをめくればきっと人生を一変させる一文に出会って、救われるはずだ…と、実りのない読書を続けていました。友人や親せきからはしばしば「ブンガクが何の役に立つの?」と聞かれ、なにも答えられずに悔しい思いをしたことが何度もありました。
また、文学の恐ろしいところは、作品を読むための評論や論文などが芋づる式に湧いてくることです。
筆者のつたない読解力では、ブンガクをどれだけ読み漁っても、ことばがただ積み重なっていくだけでお互いに結びつかず、ますます趣旨がわからなくなってしまうのです。そして、さらに焦ってさらに読み進めるも、読書の質より量ばかり重視してしまう…。
作品は無限にあり、それを批評する言説はさらに無限にあり、私の読解力も読む時間も有限…。さらに今やネットやSNSでの考察や批評などきりがない…。
当時の筆者は上滑りする読書の中で消化不良を起こしていたのです。
読書量ばかりを優先したことが原因の焦燥感と、何にも得られなかったという挫折感と、そうした悩みを共有するひとがいない孤独感…。
その後、なんとか就職を果たしはしたものの、仕事についていくだけで精一杯の日々のなか、一度ブンガクから離れることになるのでした。ほんとうはブンガクにこんがらがったまま、なにも解決せぬままに…。
3才の娘から読書を学ぶ
その後、筆者も人並みに結婚し、娘が生まれました。
絵本を少しずつ買い与えていたので、3才になったいまではかなり読書が好きな様子です。
当たり前ですが、娘の読書には焦りも挫折感もありません。面白そうな絵本を手に取り、実際に面白ければ何度も繰り返して読み、まさに「絵本のことばが自分の骨肉になるまで」読んでいます。
さらに、わからない内容があれば近くの大人にわかるまで聞き、そもそも難しそうな本や理解できなさそうな本には手を出しません。また、親が(せっかく買ったのだから…と)どれだけ勧めても、興味がなければ一切手に取らず、飽きたら即刻読書をやめる、無理をしない。そして読後は、どんなところがおもしろかったのかを(親の意思にかかわらず)徹底的に話し続ける…!
ふと筆者は気が付いたのです、娘の本の読み方は、大学時代の筆者のブンガクとの向き合い方とは全く違う、と。
つまり
- 難しそうな、理解できなさそうな本ばかり厳選して読む⇔読むのが辛そうな本は読まず、おもしろそうな本だけを読む
- 無限に読まなければいけない本が控えているので、一度だけ焦って読む⇔おもしろい本は何度でも読む
- 抽象的な思想や概念を重視して読む⇔自分が経験したことや知っていることに結びつけて読む
- 誰とも感想を共有しない⇔おもしろかった内容を共有する
娘は日に日に読書が好きになっていきます。
一方で、筆者はまだブンガクにこんがらがったままだったのです。
素朴な問いかけに答えるために
ある日、娘が筆者の部屋に忍び入り、収納ケースに突っ込まれたまま眠っている文庫本を指さして言いました。
「パパ、この本には何か書いてあるの?おもしろいの?」
…その時、筆者はこの極めて素朴な問いに答えることができなかったのです。これらの本のなにがおもしろいのか、魅力なのか、さらに言えば、これらの本が、これから娘が直面するであろうたくさんの問題や困難を解決するのに役に立つのか、なにひとつわからなかったのです。
私が多くの時間を捧げたブンガクがもたらしたものは、結局、なんだったのだろう?
娘がもう少し大きくなったら、私がブンガクから学んだことや魅力を、なんて説明すればいいのだろう?
はなはだ個人的ながら、このブログのそもそもの出発点は、この問いに答えることにあるのです。そして、娘の問いに答えるために、もう一度ブンガクを訪れることにしたのです。
ただし、一度負けた戦いに、同じように敗れ去るわけにはいきません。リベンジには戦略が必要です。そこで筆者はこう考えました。
「この問いに答えるためにブログを始めよう!」
このブログの戦略/目指すこと
かくしてブログの開設を決意した筆者ですが、特に以下の点に気を付けて記事を作成していきたいと思っています。
このブログの戦略
「ブンガクにこんがらがる」状態にならないように、このブログにおいて
- ひとつひとつの作品ごとに丁寧に時間をかけて読む
- 関連文献や評論ではなく、作品そのものに書かれたことばを最優先に考える
- 作品のテーマと実体験を結び付ける
- 作品のテーマや魅力を簡単なことばで分かりやすく伝える
以上のことを大切にしたいと思います。つまり
- レビューの「数」ではなく「質」や「深さ」を重視します
- 知識が足りないこと・理解が及ばないことに焦って関連書籍や参考文献に安易に手を出さず、ひとまず作品そのものの読解から、作品のテーマを考えます
- 作品の魅力を自分の頭で考えなおして、自分の実体験と結び付け、腑に落とします
- 作品の「要約」や「解説」をするには筆者の実力が到底及ばないため、あくまでエッセンスを整理することを目指します
- 専門用語をできる限り用いずに、わかりやすいことばで整理します
以上の段取りで文学作品をレビューします。
このブログが目指すこと
そもそも、文学の魅力をひとつ挙げるとすれば
多様な「声」に形が与えられていること
ではないでしょうか。
そして、読書をする喜びというものは、そうした多様な声を聴くことで、「こんな生き方があるのか」「こうした考え方をしていいのか」という気付きをもたらしてくれることにあると思います。
そしてそれは、いまここに生きる私たちが考え直したり、模索する際のヒントになるはずです。
筆者の拙いレビューを通じて、作品の魅力がひとりでも多くの方に伝わり、結果わずかでも新たな考えに気付けたり、悩みを解決できれば幸いです。
文芸作品ということばを通して人生の多様さを見出すささやかなきっかけとなればいいと思っています
皆様の生活に文学のエッセンスをお届けすることで、ささやかな彩りをもたらせるよう、営為運営したいと思います。
よろしくお願いいたします!
最後に ーブログ名の由来について
このブログ名の由来について説明
ボブ・ディラン「Tangled up in Blue」から